なぜ、あなたの決断はいつも「先送り」されるのか?決断力を高めるための3つのステップ

なぜ、あなたの決断はいつも「先送り」されるのか?決断力を高めるための3つのステップ

「このプロジェクトはリスクが高すぎる」 「もう少し情報が集まるまで、一旦ペンディングにしよう」 「前例がない。まずは他社の動向を見てからだ」

あなたの会議で、今日も「やらない理由」ばかりが並んではいないだろうか。誰もがリスクを指摘し、誰もが決断の責任を取ろうとしない。その結果、有望なはずのプロジェクトは次々と先送りされ、チームは思考停止に陥っていく。

そして、その中心にいるあなたには、「決断できないリーダー」という不名誉な烙印が、静かに押されつつある。あなたはその事実に、もう気づいているはずだ。

よくある間違い:あなたの「性格」は、一切関係ない

なぜ、あなたは決断できないのか。多くのリーダーがその原因を、自身の「慎重すぎる性格」や「経験不足」のせいだと考え、自己分析の本を読み漁り、自分を責める。

しかし、それは根本的な診断ミスです。

問題の根源は、あなたの個人の資質ではなく、不確実性に直面した際の「思考と行動のプロセス」が、あなたの脳内にインストールされていないことにあります。気合や根性で勇気を振り絞ろうとするのは、OS(オペレーティングシステム)がインストールされていないPCで、複雑な分析ソフトを動かそうとするのと同じくらい無謀な行為なのです。

勇気は「技術」であり、インストールできる

勇気とは、恐怖を感じないことではありません。それは、恐怖を感じることを前提として、合理的なプロセスに従って最適な行動を選択できる「技術」です。

そして、この技術は、これから我々が解説する『勇気をインストールする3つの回路』をあなたの脳内に構築することで、誰でも後天的に習得することが可能です。

『勇気をインストールする3つの回路』

【回路1:認知(Meaning)回路を設計する】

最初のステップは、不確実な状況を「脅威」から「機会」へと意味変換する回路の設計です。行動の源泉は、感情ではなく「意味づけ」にあります。

例えば、あるアパレル企業の事業責任者、斎藤部長の例を挙げましょう。彼の部署は、安価な海外製品の猛追で売上不振に喘いでいました。チームの誰もが「もはや撤退しかない」と諦めていたその時、彼はこう宣言しました。「これは、我々が『使い捨てのファッション』の時代を終わらせ、本物の価値を顧客に問い直す、英雄的な挑戦だ」と。

彼は、市場縮小という「脅威」を、「業界のルールを再定義する好機」という英雄的な物語に書き換えたのです。この「意味づけ」こそが、チームの恐怖を希望に変え、行動の強力なエンジンとなります。

【回路2:行動(Action)回路を実装する】

次に、恐怖を感じても体が勝手に動く「行動システム」を構築します。多くのリーダーが完璧な計画を求めて思考停止に陥りますが、それでは永遠に行動できません。

重要なのは、まず検証可能な最小単位の行動(マイクロ・アクション)を起こし、そこからフィードバックを得ることです。宇宙飛行士が何千回ものシミュレーションで自信を培うように、この「仮説→行動→学習」の小さな成功体験のループが、あなたをプレッシャーに強い体質へと変え、霧の中の道を照らし出します。完璧な計画など、最初から存在しないのです。

【回路3:環境(Environment)回路を最適化する】

最後に、あなたの決断をサポートする外部環境を、意図的に作り出します。多くのリーダーは「イエスマン」を周囲に置きたがりますが、それは最悪の選択です。

本当に必要なのは、あなたの仮説を忖度なく批判してくれる人物を隣に置くことです。さらに、精神的に支えてくれるメンターとの対話を定例化し、他部署の専門家を巻き込む。このように、勇気とは孤独な戦いではなく、計算されたチームスポーツなのです。あなた一人の頭で考えられることには、限界があります。

あなたが明日からできること

では、明日から何をすべきか。 まずは最も重要な「回路1:認知回路」のトレーニングから始めてください。以下の問いに、手元のノートかPCのメモ帳に、今すぐ書き出してみてください。

質問:あなたが今、最も「脅威」だと感じているビジネス上の課題を一つ挙げてください。そして、それを無理やりにでも「好機」だと捉え直すとしたら、どんな新しい物語(ストーリー)を描けますか?

この思考実験が、あなたの脳に新しい回路を焼き付ける、最初の重要な一歩となります。

まとめと次のステップ

あなたが決断できないのは、能力が低いからではありません。単に、決断するための「思考と行動の回路」が、今まで誰にも教わらないまま、未実装だっただけなのです。

今回紹介した3つの回路は、その設計図に過ぎません。そして、その設計図を基に、あなたの現状を客観的に分析し、具体的なインストール計画を立てることが、あなたのリーダーシップを次のステージへ導きます。

この記事を書いた人

伎冶総研(編集部)

データと論理に基づいた「実現可能な戦略」を提供する専門家チーム。私たちの使命は、日本のビジネスリーダーが直面する課題解決のため、信頼できるパートナーとして伴走することです。読者一人ひとりが自信を持って次の一歩を踏み出せるよう、その知性と情熱をもって貢献します。

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