「毎日、目の前の業務をこなすので精一杯…」
「この仕事、一体何のためにやっているのか?」
「入社した頃のやる気は、どこに行ったのだろう…」
社会人になって1~3年。少しずつ仕事に慣れてきた頃に、毎日がんばっているのに、なんだか心が空っぽな感じ。まるで自分だけが「やらされ仕事」のループにはまってしまったような、虚しさや焦り。
ふと、このように感じることはありませんか?
それは、決してやる気がないことではありません。多くの先輩たちも、実は同じような壁にぶつかっています。
この記事では、そんな「やらされ感」から抜け出して、あなたの中から湧き出てくるような「仕事のやりがい」を見つけるための具体的なヒントを分かりやすく、優しく解説していきます。
給料や評価のため「だけ」に働くのではなく、仕事そのものを「ちょっと楽しいかも」と思えるようになる。そのような未来への第一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
「やりがいがない…」と感じるのはあなただけじゃない
「もしかして、自分だけがやる気ないのかな…」なんて、一人で抱え込んでいませんか?
実は、多くのビジネスパーソンが「やりがい」を大切だと感じながらも、現実にはそれを見つけられずに悩んでいます。
人材サービス会社エン・ジャパンの調査では、なんと95%もの人が「仕事にやりがいは必要だ」と回答しています。みんな、仕事に前向きな意味を見出したいと思っています。
一方、内閣府の調査を見ると、仕事に対する満足度は他の項目に比べて低い傾向にあり、多くの人が理想と現実のギャップに悩んでいることが分かります。
つまり、あなたが今感じている「やらされ感」やモヤモヤは、決して特別なことではなく、多くの人が通る道。まずは「悩んで当たり前なんだ」と、今の自分を認めてあげることから始めましょう。
「仕事のやりがい」って何だろう?心理学でスッキリ解説
「やりがい」って、よく聞く言葉だけど、具体的例をご紹介します。 アメリカの心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」という考え方がヒントになるでしょう。
彼は、仕事の満足度に関わる要因を、次の2つに分けました。
- ① 衛生要因(ないと不満になるもの)
- お給料、会社のルール、人間関係、労働環境など。
- これらが整っていないと不満に感じますが、満たされたからといって、それだけでは「よーし、がんばるぞ!」という強いモチベーションには繋がりにくいものです。例えるなら、ないと困るけど、あっても当たり前と感じるものに近いかもしれません。
- ② 動機づけ要因(あると満足感が高まるもの)
- 「達成感」や「認められること(承認)」、「仕事そのものへの興味」、「成長している実感」など。
- これこそが、私たちの「やりがい」の正体です。自分の内側から「もっとやりたい!」というワクワク感を引き出してくれます。
つまり、「やらされ感」から抜け出すカギは、給料や環境といった「衛生要因」を整えるだけでなく、「動機づけ要因」をいかにして日々の仕事の中に見つけていくかにかかっています。
💡 基礎トレTips:キャリア開発アドバイス給料も大事、人間関係も大事。しかし、それらに限定すると心のエンジンはかかりづらくなります。自分の仕事に『意味』を見つけ、そこに『成長』を感じられた時、人は本当のやりがいを感じます。この『動機づけ要因』こそが、あなたのキャリアを豊かにする宝物となります。
あなたの「やらされ感」はどのタイプ?原因を探る5つの質問
では、あなたの「やりがい」を奪っている原因はどこにあるのでしょうか? 下の5つの質問に、正直にチェックを入れてみてください。当てはまるものが多いほど、それがあなたの「やらされ感」の根本原因かもしれません。
✍️ 「やらされ感」の正体を突き止めるセルフチェックリスト
□
自分の仕事が、最終的に誰の役に立っているのか実感できない。□
どれだけ頑張っても、給料や評価に繋がらないと感じる。□
毎日同じことの繰り返しで、「成長している」という感覚がない。□
上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいっていない。□
会社のビジョンや価値観と、自分の大切にしたいことがズレている気がする。
どうでしたか? 原因が見えてくるだけで、対策が立てやすくなります。次のステップで、このモヤモヤを晴らす具体的な方法を模索しましょう!
自分だけの「やりがい」を見つける3ステップ
あなただけの「やりがい」を見つけて育てるための、3ステップをご紹介します。
ステップ1:眠っている「好き」と「得意」を掘り起こそう(自己分析)
まずは、自分探しの時間です。あなたの「やりがい」の種は、あなたの中にすでに眠っています。難しく考えず、リラックスして取り組むことをおすすめします。
✍️ ワーク:これまでの経験を振り返ってみよう
ノートやスマホのメモ帳に、以下のことを書き出してみましょう。
- 人から褒められて、嬉しかったことは?
- (例:「〇〇さんの作る資料って、いつも分かりやすいね」「相談してよかった!」)
- 時間を忘れるくらい、夢中になれた作業は?
- (例:黙々とデータを分析している時、企画のアイデアを考えている時)
- 他の人より、あまり苦労せずにできちゃうことは?
- (例:初対面の人とでもすぐに打ち解けられる、細かい間違いを見つけるのが得意)
これが、あなたの「強み」や「価値観」のヒントになります。自分では当たり前だと思っていることこそ、実はすごい才能だったりするんですよ。
💡 基礎トレTips:キャリア開発アドバイス自分の『強み』に気づくことは、キャリア論における『自己理解』の第一歩です。多くの方が『当たり前』と思っていることこそ、市場価値の高いスキルであることが少なくありません。このワークは、あなたの自信を取り戻すきっかけにもなりますよ。
ステップ2:仕事の見方を変える「ジョブ・クラフティング」入門
自分の「強み」のヒントが見つかったら、次はいつもの仕事にちょっとした工夫を加えて、「自分ごと」に変えていきましょう。
このテクニックを「ジョブ・クラフティング」と言います。「仕事を自分で再定義して、面白くする技術」だと思ってください。方法は大きく3つあります。
① タスク・クラフティング(やり方を変える) いつもの作業に、自分の「得意」や「好き」を活かせる工夫をプラスしてみましょう。
- Before: 「またこの単調なデータ入力か…」
- After: 「ショートカットキーを極めて、ゲーム感覚で最速タイムを目指してみよう!」「このデータから、何か面白い傾向を見つけられないかな?」
② 人間関係クラフティング(関わり方を変える) 仕事で関わる人との関係性に、新しい意味を見出してみましょう。
- Before: 「クレーム対応、気が重いな…」
- After: 「一番困っているお客さんを、私が助けてあげられるチャンスだ!」「この人のために、自分に何ができるだろう?」
③ 認知クラフティング(捉え方を変える) 仕事の「意味」を、自分なりに捉え直してみましょう。
- Before: 「先輩に言われた資料を作らなきゃ…」
- After: 「これは、営業チームの成功を支える『作戦地図』作りだ!どうすれば、みんながワクワクする地図になるだろう?」
✨ 20代のリアルケーススタディ ✨
Case1:営業事務2年目のAさん

Aさん
書類作成業務に「自分は歯車なのかも…」と無力感を抱いていました。そこで認知クラフティングを実践し、自分の仕事を「営業チームの成功を支える基盤作り」と捉え直しました。その視点で業務改善を提案した結果、チームからすごく感謝され、それが新しいやりがいに繋がりました。
Case2:ジュニアマーケター3年目のBさん

Bさん
定型的なSNS更新に飽きていました。自己分析でデータ分析という「強み」を発見し、投稿のパフォーマンスに関する自主的なミニレポート作成を開始。それが上司の目に留まり、より分析的な業務を任されるようになり、仕事が楽しくなりました。
ステップ3:小さな「できた!」で自分を育てる(成長実感)
大きな成果や目標ばかりを見ていると、息切れしてしまいます。大切なのは、日々の小さな「できた!」に目を向けて、自分を褒めてあげることです。
📔 「今日の自分、えらい!」を見つける習慣 一日の終わりに、手帳や日記に、今日できたことを3つだけ書き出してみませんか?
- 「〇〇さんに『ありがとう』と言ってもらえた」
- 「新しいショートカットキーを一つ覚えた」
- 「朝、いつもより5分早く出社できた」
本当に、どんな些細なことでOKです。 「できた!」を可視化することで、「自分、ちゃんと前に進めてる!」という自己肯定感と成長実感が湧いてきます。これが、明日もがんばろうというモチベーションのガソリンになります。
さらに「やりがいポートフォリオ」という考え方を持つのもおすすめです。 一つの仕事に完璧なやりがいを求めるのではなく、「この作業は成長のため」「この作業は誰かの役に立つため」というように、色々な種類の「やりがい」を組み合わせるイメージです。週全体でバランスが取れていればOK!と考えると、心が少し軽くなります。
それでもやりがいが見つからない…そんな時の2つの選択肢
「色々試したけど、やっぱり今の仕事はつらい…」 そんな時も、もちろんあります。自分を責めないでください。自己分析だけでは解決が難しい時は、外に目を向けてみましょう。
選択肢1:信頼できる上司や先輩に相談してみる
一人で抱え込まず、信頼できる人に話してみるのも有効な手です。 ポイントは、感情的に「つらいです」と伝えるのではなく、「自分はこうなりたい(目標設定)のですが、現状の業務では〇〇な点に悩んでいます。何かアドバイスをいただけませんか?」と、前向きな相談の形にすること。
あなたのキャリアパスについて、意外なヒントやチャンスをもらえるかもしれません。
選択肢2:環境を変えることも考えてみる(転職)
もし、会社の価値観と自分の価値観がどうしても合わなかったり、今の環境ではどうやっても「動機づけ要因」が見つからなかったりする場合は、環境を変えること、つまり「転職」も立派な選択肢の一つです。
それは決して「逃げ」ではありません。あなたがあなたらしく、やりがいを持って働くための、前向きな一歩です。焦って決める必要はありませんが、選択肢として持っておくだけで、心に余裕が生まれます。
まとめ:明日からできる、はじめの一歩
毎日お仕事、本当にお疲れさまです。 「やらされ感」に悩んでいたとしても、自分を責める必要は全くありません。
この記事でお伝えしたかった大切なポイントを、最後にもう一度おさらいします。
- 「やらされ感」で悩むのは、あなただけじゃない。
- やりがいの正体は、「達成感」や「成長実感」といった心の中から湧き出るもの(動機づけ要因)。
- やりがいを見つけるステップは3つだけ!
- 自分の「得意」や「好き」を知る(自己分析)
- 仕事の見方を変えてみる(ジョブ・クラフティング)
- 小さな「できた!」を集めて自分を褒める(成長実感)
- どうしても難しい時は、周りに相談したり、環境を変える選択肢もある。
完璧にやろうとしなくて大丈夫。 まずは今日、この記事を読んでくれたあなたができる「はじめの一歩」は、
『寝る前に、今日一つだけ「できたこと」を見つけて、心の中で自分を褒めてあげる』
たったこれだけです。 その小さな積み重ねが、あなたの仕事に対する気持ちを少しずつ、でも確実に変えていきます。
「やらされ仕事」が、いつの間にか「自分ごと」としての「やりがい」に変わっていく。 シゴトの基礎トレは、そんなあなたを心から応援しています。