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ビジネスリーダーが語るべき5つの物語とは?信頼と行動を引き出す技術

ビジネスの現場で、「伝えているのに伝わらない」「チームが動かない」と感じたことはありませんか?データや目標だけでは人の心は動きません。人を動かすのは、感情に届く“言葉”です。そして、今あらためて注目されているのが、リーダーによるストーリーテリング。この技術は、信頼を築き、価値観を共有し、未来へ向けた行動を促す“鍵”となります。本記事では、リーダーが語るべき「5つの物語」を、実例とともに詳しく解説していきます。


リーダーに「物語」が必要とされる理由とは?

リーダーとしてのあなたが、いくら熱意を持って語っても、相手が動かなければ意味がありません。今、多くの組織で求められているのは、単なる命令ではなく、自発的に人が動く空気をつくれる人材です。その力の根底にあるのが「物語」。人間は、情報よりも物語に反応する生き物なのです。

ストーリーテリングが注目される背景

数値や理屈では人は動かない

リーダーの言葉が響かない…その原因の多くは、「伝え方」にあります。人は本能的に「数字」よりも「感情」に反応します。たとえば、プレゼンで「売上10%アップを目指す」と言うだけでは、関心を引きませんが、「お客様に心から喜んでもらえる商品を広めたい」と語れば、聞き手は共感と理解のスイッチを入れることができます。

感情が動けば、行動が生まれる

ハーバード大学の研究によれば、人は意思決定の90%以上を感情で行っているというデータもあります。つまり、感情を揺さぶる語りこそが、行動変容につながる最大の武器なのです。


リーダーが語るべき「5つの物語」とは?

とはいえ、「ただ自分の体験を話すだけでは意味がない」と感じる方もいるかもしれません。そこでご紹介したいのが、実績あるリーダーたちが実際に活用している“5つの物語”の型です。これらを意識して語ることで、あなたのメッセージは聞き手の心に届き、行動を引き出す力を持つようになります。


① パーソナルストーリー|信頼を得る

 自分の「弱さ」を語れるリーダーが強い

部下やチームメンバーとの距離を縮めたいなら、まずはあなた自身の素顔を見せることが大切です。特に、自分の失敗談や苦しかった体験は、聞く側にとって非常に親近感を抱かせます。

たとえば、某大手IT企業のマネージャーは、自分が若手時代にプロジェクトで大失敗した体験を新人研修で語ったところ、研修後の満足度が前年比で20%アップしたそうです。

✅ポイントまとめ

  • 体裁を整えすぎない、正直な話が刺さる

  • 失敗の「原因」と「学び」をセットで語る

  • 話す前に一呼吸。感情も丁寧に乗せる


② アクションストーリー|行動を促す

 成功だけでなく「プロセス」も伝える

部下に動いてほしい時、ただ「やってみろ」と言うだけでは足りません。自分がどんな思いで決断したか、その結果どう変わったかを物語として語ることで、聞き手は「自分にもできるかもしれない」と思えるのです。

メラニー・パーキンス氏(CanvaのCEO)は、初期段階の失敗やプレゼンが通らなかった経験をあえて公開し、起業のハードルを下げる力強いストーリーを築いています。

✅ポイントまとめ

  • 「困難→決断→行動→結果」という流れを明示

  • 話すタイミングは、チームが迷っているときが効果的

  • 相手が「自分ごと」として想像できる具体例を使う


③ バリューストーリー|価値観を根づかせる

H4: 理念や文化は“行動のエピソード”で伝える

「理念」は紙の上にあるだけでは意味がありません。実際にその価値観に基づいた行動をとった人のエピソードこそが、最も強い説得力を持ちます。

ZoomのCEO、エリック・ユアン氏は、「家族第一」の価値観を浸透させるため、自身が息子のバスケ遠征を優先し、会社のイベントに遅刻した話を何度も語っています。このような具体的な行動のエピソードは、社内文化として記憶されます。

✅ポイントまとめ

  • 価値観に紐づく行動の「結果」まで語る

  • 第三者のストーリーでもOK(部下・先輩など)

  • 「どう行動したか」が価値観の証明になる


④ ティーチングストーリー|学びを伝える

経験を“教材化”する

部下にアドバイスするとき、「言葉だけ」で終わっていませんか?教訓や知識は、リアルな体験談を交えることで、聞き手の記憶に残ります。

ある外資系の営業リーダーは、「顧客を観察する習慣」を伝えるために、自分が新人時代に訪問先で見落としたメモ帳から商談を失った話を共有しています。リアリティのある話が、行動指針として根づくのです。

✅ポイントまとめ

  • 「何を学んだか」より「どう学んだか」を重視

  • ショートエピソードを事前に複数用意しておく

  • 相手の状況に応じて話すエピソードを変える柔軟さを


⑤ ビジョンストーリー|未来を描く

 言葉だけで、風景を描けるか?

未来を語るとき、数字や目標値だけを話していませんか?それでは、聞き手にとってはただの“他人ごと”。大切なのは、未来の一場面を視覚的に描き出すことです。

マイクロソフトのCEO、サティア・ナデラ氏は、「知っている人」から「学ぶ人」への文化転換を進める中で、父親が毎日綴っていた学習日記の話を通じて、社員に“学ぶ姿勢”のイメージを伝えました。

✅ポイントまとめ

  • 理想を語るのではなく「場面」を描く

  • 自分がそのビジョンを信じる理由も語る

  • 共に「その景色を見たい」と思わせるのが目標


まとめ|物語の力を、明日の言葉に変えていこう

リーダーが語るべき5つの物語──それぞれが目的に応じて大きな力を発揮します。ただし大事なのは、「うまく話す」ことではありません。あなたの想いや体験を、相手に届けたいという気持ちがあれば、どんな言葉も“ストーリー”になります。

まずは、あなた自身の物語から始めよう

今すぐ、特別な準備は不要です。まずは、今のあなたに影響を与えた体験を一つ思い出してみてください。そして、それを誰かに話してみる。その一歩が、チームや組織を動かすきっかけになるかもしれません。

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