「なんとなく言えない」その沈黙、チャンスを逃しているかも?
職場で誰かの発言にモヤッとしたこと、ありませんか? 会議中の何気ない一言や、暗黙のルールに「これは違うかも…」と違和感を覚えたものの、その場の空気や立場を気にして何も言えなかった――そんな経験が一度はあるはずです。
でもその「沈黙」、本当に安全なのでしょうか?言えなかった言葉は、あなたの中にストレスとして蓄積し、いつか心や関係性にひびを入れてしまうかもしれません。
本記事では、「難しい会話を避けず、でも対立しない伝え方」を具体的なシチュエーションとともに紹介します。職場でのコミュニケーションに自信を持ちたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
職場で「難しい会話」が増えている理由とは?
職場での人間関係は、ただの上下関係ではありません。ジェンダー意識の高まり、ダイバーシティの推進、Z世代の価値観の多様性など、さまざまな価値観が混在する今の時代だからこそ、日々のやりとりの中で小さな衝突が起きやすくなっています。
最近の調査では、Z世代の8割以上が「自分の価値観と合わない会社には長くいたくない」と感じていることがわかっています。つまり、個人が声を上げる必要性は以前よりもずっと高まっているのです。
では、その「声」をどう届けるべきか?ここからは具体的な方法を7つに分けてご紹介していきます。
違和感を「見て見ぬふり」しないことが第一歩
小さなモヤモヤは、やがて心の大きな重荷になる
違和感は、あなたの心が「これは違う」とサインを出している証拠。けれど、その気持ちを無視し続けると、次第に“言えない自分”を責めるようになり、自信も関係性も少しずつ崩れていきます。
例 ある女性社員が、男性ばかりが中心となるプロジェクトの進め方に違和感を持ちつつも、声を上げられずにいました。結果、彼女は意見を求められることもなくなり、徐々に疎外感を感じるように。「最初にちゃんと伝えていれば…」と後悔したそうです。
ポイント 違和感は“見過ごしていい感情”ではありません。まずはその感情を無かったことにせず、メモする・信頼できる人に話すなど、アウトプットするところから始めましょう。
相手を責めない、共感から始める会話
「間違っている」ではなく「どう感じたか」を共有
人に意見を伝える時、「正す」「正論を言う」姿勢になってしまうと、相手も反発しがちです。大切なのは、自分の視点を“共有”すること。
例 「昨日の会議での○○さんの発言、私は少し戸惑いました。私にとっては、あの表現が少し引っかかって…」というように、「私」に焦点を当てて伝えると、相手も防御的になりにくくなります。
参考書籍 トッド・カシュダン著『The Art of Insubordination』では、「Calling out(糾弾)」ではなく、「Calling in(招き入れる)」という対話アプローチが紹介されています。
ポイント 「共に考えたい」という姿勢を持って、会話のスタートラインをつくるのがコツです。
話すより、まず「聴く」が信頼をつくる
相手の意図を知ることが、本当の理解に近づくカギ
人は、意外と相手のことを「思い込み」で判断してしまいがちです。でも、まず相手の考えをじっくり聞くことで、意外な背景や意図が見えてくることがあります。
実例 ある上司が繰り返す“古い考え方”に悩んでいた社員が、「なぜそう思われるんですか?」と率直に尋ねたことで、実は過去に組織崩壊を経験していた背景があったことを知り、関係が良好になったそうです。
参考 ジュリア・ミンソン教授(Harvard Kennedy School)による研究でも、「聴く姿勢」が信頼関係の形成において極めて重要だとされています。
ポイント 相手の言葉を最後まで聞く、繰り返して確認する、などの“聴く技術”を意識的に取り入れてみてください。
ユーモアで空気をやわらげるテクニック
緊張感を和らげる“ひとこと”が信頼を生むことも
すべての会話をシリアスに捉えすぎると、相手との距離が縮まりにくくなります。場を和ませる軽いジョークや笑顔が、思わぬ効果を発揮することも。
引用例 NYタイムズの記事では、教授が学生を誤ってミスジェンダーした際、学生が「大丈夫、私もよく間違えますよ」と笑って返したことで、場の空気が一気に和らいだそうです。
ポイント 無理にウケを狙わなくてOK。ちょっとしたユーモアや柔らかい口調が、難しい会話を前向きに進める“潤滑油”になります。
“仲間”を見つけることで声が届きやすくなる
一人では難しいことも、共感者となら動かせる
組織の文化や上層部への働きかけなど、個人で直接ぶつかるにはリスクが高い場合もあります。そんな時は、同じ価値観を持つ仲間を見つけて動くのがベストです。
実例 サイボウズの「働きがい改革プロジェクト」では、社員の声から制度改革が実現。小さな気づきでも、仲間と連携することで大きなムーブメントにつながる好例です。
ポイント まずは小さく、信頼できる人に相談することから始めてみましょう。
一度で変えようとしない。関係は“積み重ね”で育つ
繰り返しの中で信頼は深まる
変化には時間がかかります。1回の話し合いで結果を出そうとすると、逆に焦ってしまったり、相手を追い詰めてしまう可能性もあります。
企業事例 ある企業では、1on1ミーティングを継続的に行うことで、社員の定着率と満足度が向上。特に若手社員からの「話を聞いてくれている」という実感がモチベーション維持につながったと報告されています。
ポイント 「今日はこれだけでOK」と小さな達成を積み重ねる意識を持ちましょう。
相手にラベルを貼らず、「人として」向き合う
「この人は○○な人」と決めつけない姿勢が、対話を育てる
人は、苦手意識のある相手に対して、ついラベルを貼ってしまいがちです。でも、その“レッテル”が会話の可能性を狭めてしまうことも多いのです。
ヒント 「苦手な上司」ではなく、「価値観が違う先輩」ととらえなおすだけで、あなたの視点は大きく変わるかもしれません。
ポイント 「変わってほしい」ではなく、「この人も変われるかもしれない」と信じることが、あなた自身の人間力を育てます。
まとめ 難しい会話は「変化のチャンス」になる
「伝えるのが怖い」「どう思われるか不安」――そんな気持ちは誰にでもあります。でも、それを乗り越えて一歩踏み出すことで、あなたの職場の空気は変わり始めます。
すべてが思い通りにいくわけではありませんが、伝える努力を重ねた分だけ、信頼関係や自己肯定感は確実に育っていきます。
今日からできる“小さな一歩”
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違和感を感じたらメモしてみる
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信頼できる人に雑談ベースで話してみる
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会議の後、「さっきの話、少し気になったんだけど」と切り出してみる
“伝える”ことに慣れるには、練習あるのみ。まずは、あなたの中の「伝えたい気持ち」に素直になってみてください。